夢を見た…… 私と知らない人たち。 知らないはずなのに、何でか私は笑ってて、凄く親しそうにその人たちも私に話しかけてくれる。 それはとても幸せそうな光景だった。 # 08 「お帰りなさい喜助さん」 「ただいまウルル。あの2人は」 「まだ寝てます。………」 ウルルの視線が自分の腕の中で眠る死神に移ったことに気づいた喜助は自分も腕の中の死神を見る。 「治療するんで布団の用意、お願いしてもいいッスか」 ウルルはコクリと頷き奥の部屋へ入っていく。 「良いのか?こやつはきっとまた辛い思いをするぞ」 「そッスね…。 黒猫姿の夜一と喜助は神妙そうな面持ちで死神を見つめる。 「それに今のあたしは昔とは違う。 最後の言葉がいつもの喜助と違い、低く、どこか辛そうだったのは気のせいではないだろう。 喜助は夜一の横を通り中へ入り布団へ死神を寝かせた。 そばには横になった茶度と井上の姿があったが2人とも気を失っていて起きる気配はなかった。 「傷自体は浅いッスね」 少し休めば気がつくでしょう、と喜助たちはその部屋を後にした。 「…あれ?茶渡君?」 織姫が目を覚ますと、先に目を覚ましていたチャドに気づいた。 「気がついたか。おはよう」 「ぉ、おはよう…………。あの…ココどこ?」 「さぁ」 自分が何故ここに居るのかわからず戸惑う織姫。 「…ぁ……茶渡君、その人は…?」 布団に横になるに気づいた織姫は覗き込むように見つめる。 「わからない。俺が気がついたときにはそこに居た……」 「………何だか不思議〜…。この人見てると凄く落ち着く。それに凄く綺麗な髪……」 「井上…あまり近くで話すと」 「ようやくお目覚めッスね」 「「っ?」」 急に知らない声を掛けられ、そちらを見ると仁王立ちの喜助が居た。 「っ…誰…?」 「知らない。……ただ、どうやら俺たちは彼に救われたらしい」 「その通りなんですがねぇ。はてさて、どこから話せば良いやら…」 「はぁはぁはぁ…っ。クソ〜、石田のヤローぜってぇ泣かしてやる!!!」 虚を倒し進む一護。 「待ってろよ…っ!!」 「っちょっと待ってくれ」 「そ、そうですよ……死神とか虚とかいきなり言われても…」 今までの話を聞かされ、動揺を隠せない2人。 「では否定しますか?先ほど君たちが襲われた事実を」 「…それは…」 「………」 まっすぐな喜助の目は嘘を言っていない。 「今もなお黒崎一護は死神として虚と戦っている。そしてあなた方は彼が垂れ流す並外れた霊力に影響を受けた。 喜助はチラリとまだ目覚めぬを見た。 「その証拠と言っちゃなんですがね。そこで横になっている彼女。 「ぇ…見えて、って…。だってちゃんとココに」 織姫の言葉に頷くチャド。 「どうしてそんなこと」 「彼女も」 「ぇ?」 「彼女も黒崎一護同様、死神、なんスよ」 「「っ!!?」」 「彼女を見ることが出来るということは、やはりあなた方はなんらかの霊力を得ている」 戸惑う2人。 急に自分には霊力があって、死神だの虚だのと言われれば誰でも戸惑うだろう。 「ともあれ、目の前に現れた扉を開けるか否かはあなた方次第」 喜助の背後の障子戸が開く。 「店長」 「ん?」 「空紋が収斂を始めました…」 「準備は?」 「万端!」 「んじゃ行こうか」 喜助は踵を返し部屋を出る際顔だけを振り返らせた。 「ついて来ますか?」 「「…………」」 「見せて差し上げますよ。扉の向こうを…」 「……ま…って………」 「「!!!?」」 喜助が部屋を出ようと1っ歩踏み出すと同時に、小さな声がその歩みを止めた。 「目、覚めましたか……」 喜助の声は優しく、どこか切なげだった。 「私も…連れてって……くださ…」 「あっ」 自分の力で起き上がるのもやっとなを慌てて織姫が支える。 「今のあなたでは戦うことはできないッスよ?」 「そ…れでも……。確かめたい…んです……」 「……………………わかりました」 確かめたい あの人が本当に彼だったのかを 知りたい あの死覇装姿の、あの人と同じ髪を持つ人のことを… BACK / NEXT |