「見てるだけ……か…」 先ほどに比べると少し力が戻ったが、それでも虚と戦うこともできず、ただ織姫・チャドと共に陸橋から少し離れた彼らを見守ることしか出来ずにいる。 「メノス……どうしてあんなものが現世に……」 メノスの先にいる2人に視線を送る。 否、正確にはオレンジの髪をした死神に。 # 09 ココに来る間に少しだけ話を聞いた。 今訳あって死神をしている幼馴染。 死んだわけではないことに安堵の息をつく。 そしてルキアもその件に大きく関係している。 ルキアが無事なこと、そして一護が死神であること。 「(もっと詳しくしりたい…。こんな遠くからじゃなく、そばに居れたら……)…一護ちゃん……」 近くにいたチャド・織姫の耳には届かないほど小さな声でつぶやく。 「石田と…隣にいる一護は見えるか……」 「…うん」 (やっぱりこの人たち一護ちゃんの……) 「ココで見て居てください…か。見て、それから選べってことかな…。私たちの歩く道を」 迷う織姫。 「茶渡君…」 「ん」 「私たちどうしたらいいのかな…」 「………」 「自分の……」 「え…」 突然会話に入ってきたに顔を向ける織姫とチャド。 はまっすぐただ前を見詰めながら話を続ける。 「自分の思う通りに進めばいいんだと思うよ…。受け入れるも入れないも、その人自身で決めたことなら他の人が何かを言う権利なんてない」 「………」 「一護ちゃんもきっと自分の意思で死神になったんだと思う……自分に力があるなら誰かを護りたい、きっと彼ならそう思うんじゃないかな…だから」 「ぁ……(やっぱり黒崎君の知り合いなんだ…)」 はそこで初めて2人に視線を向け、優しく微笑んだ。 「後悔、しないようにね」 「……はぃ」 「っっ!!!」 織姫が返事をしようとした瞬間、が何かに気づいてメノスを見上げると、メノスの口元に赤く光るものが見えた。 「何…?」 「……そんな…こんな場所でセロを……」 メノス程になると王族特務の管轄。 (今の一護ちゃんじゃ……) 考えるより先にの体が動いた。 が…… 「ぇ………体が…縛道……?」 視線を動かすと、喜助が片手をに向けていたのが見えた。 (どうして彼が縛道を………それに、あれは……ルキア…?) その後、織姫が何かを言ってた気がしたが、は意識を失いその目を閉じた。 再び目を覚めると、先ほどと同じ天上が視界に広がる。 「お目覚めっすか」 「…………っ!!!一護ちゃっっつ」 急に起き上がった為か、体の倦怠感がまだ治っていないのか、倒れ掛けたの体を喜助が支える。 「大丈夫っすよ。黒崎さんも朽木さんもみなさん無事です」 そっとを横にさせ、喜助はその後の話を聞かせを落ち着かせた。 「まだまだ聞きたいことは山ほどあると思いますが、今はもう少し休んでください」 「あのっ」 退室しようと立ち上がる喜助を呼びとめる。 「最後に一つだけいいですか…?」 「何でしょ」 「どうして私、こんなに力が急激に無くなったんでしょう……。ここ(現世)に来て急に力と体力が無くなって……。何かご存知ですか!?」 「………………」 不安そうなを見て黙り込む喜助。 数分の沈黙を先に破ったのは喜助だった。 「さんの力が激減した原因はわかりませんが、無くなったわけではないっすよ。明日からは義骸に入って少しずつ力が戻るのを待てばいいんですよ」 「でも私…ココ(空座町)に家なんて……」 「あ〜、それなら大丈夫っすよ」 「え…」 「ここに住めばいいんすよ」 「………え……で、でも…」 「大丈〜夫。あと急なんですが明日から高校に通ってもらってもいいっすか?いや〜、テッサイさんが浮かれちゃっても〜。あ、制服も準備してあるんで心配ないっすよ」 「ちょ、ちょっと待ってください!」 「はい?」 「どうして見ず知らずの私なんかにそこまでしてくださるんですか…?住む場所だけでなく…その……高校…まで……」 どうやらは"高校"と言う言葉に少し恥ずかしさがあるようだ。 何せ現世では学校と言っても1年も通えていなかったのだから。 「自己満足、っすよ」 「え…?」 喜助は優しく微笑み、の頭に手を置いて「それじゃ」と部屋を出た。 「自己満足、か……」 「居たんですか夜一さん」 部屋を出るとすぐ夜一が話しかけてきた。 「そうかもしれんな…。これはわしらの"自己満足"かもしれん……。あやつと一緒にまた笑い会える日が来ることを望んだわしらの、な」 「………」 「あの話はせんのか」 「………その時が来たら話すっすよ…」 「高校、かぁ……」 自分の高校生活など想像もしたことがなかったは、体の倦怠感も忘れるほどに興奮していた。 「一護ちゃんと同じ高校かなぁ……一緒だといいな……」 長い長い一日を終え、明日から高校生活を送ることになった。 だが、その一方尸魂界では…… 「隊長!!今なんて……」 「……あいつの………の霊圧が…………途絶えたそうだ」 BACK / NEXT |