書類や現世へ行く為の手続きを早々に済ませた 「今日はもう明日に備えてもう帰れ。俺もそろそろ切り上げる。あのバカは結局帰ってこないだろうし」 気を使ってくれたのか、日番谷はまだ日も高いうちから帰宅を許可した 「時間余っちゃった。ん〜… # 04 がまず向かったのは 「居た居た、 六番隊詰め所で一番に目に入った赤い髪 「あぁ?何だ、か。どうした、こんな時間に」 何かと面倒を見てくれる六番隊副隊長・阿散井恋次にはニコニコと走り寄る 「お疲れ様ですっ阿散井副」 「あ゛ぁ?」 「れ…恋次」 「よし。 「まるで私が仕事しかしてないような言い方……ま、違うとも言えないんですけどね。今日はもう帰って良いって言われたんです」 恋次は「珍しいな」と天才児の顔を思い浮かべた 「それで私明日から現世に行くことになって。だからみなさんに挨拶をと思って」 「三席自ら現世にか!?っていうか、いつまでだよ!?まさか現世に派遣…なんて」 「まっさかぁ、数日ですよ。ちょっとした仕事が入って」 ルキアを探しに、なんて言ったら彼はきっと心配するだろうし、ルキアを連れて帰ってビックリさせたい、という気持ちもあった為はそれ以上詳しくは言わなかった 「で?みんなに挨拶ってもう終ったのか?」 「まだですよ?っていうか、(報告しなきゃ後々煩そうな)恋次が一番かな」 (いっ、一番っ///) ニコッと笑ったの何気ない笑顔に髪に負けじと赤面する恋次 「朽木隊長にも挨拶してくるねっ」 立ち尽くす恋次を気にもせず、奥の執務室へ向かう 「恋次さん? 「 がいなくなったのにも気づかず今だ違う世界へスリップしている恋次の前で手をヒラヒラさせる理吉 「いい加減告白すればいいのに」 どんなに強くても好きな子の前ではただの男 それはきっと恋次だけじゃないはず コンコン 「朽木隊長いらっしゃいますか?」 執務室の前で数秒がたつと、中からやっと「入れ」の許可がおりた 「失礼しまぁす。朽木隊長、お久しぶりですっ」 あの朽木白夜に恐れもせずに近寄れる人物は早々居ない 「何の用だ」 「用っていうほどじゃないんですが、私明日から現世に行くことになったのでご挨拶に来ました」 「………もしや、兄は知人全員に挨拶に廻っているのか」 「全員、って言いますかまだ恋っ、ぃぇ、阿散井副隊長と朽木隊長のところにしか行ってないですし、あと数人に挨拶するだけですけど?」 「それがどうか?」と尋ねるが、白夜は顔色ひとつ変えず、いつもの冷静な表情で書類に目を通していた 「それでは、私もう少しあいさつしたい人たちがいるので、失礼しますね」 これ以上会話はないだろうと区切りをつけたは静かに礼をして部屋の扉に手を伸ばした 「気をつけろ」 「え?あ、はいっ!」 「兄は少し抜けたところがあるからな」 「……はぃ…」 ちょっと期待した自分が空しい、と、は六番隊を後にした のことは噂で知ってた あの日番谷冬獅郎よりも天才かも知れないそれも女が、統学院を超飛び級、即護廷十三隊へ入隊したって しかも山本総隊長直々の部下になり、今現在も一番隊に所属 噂を聞いていたときは正直"生簀かねぇヤツ"だった きっと実力じゃなくコネでもあるどっかのお嬢様だと思ってた だが、実際本人を前にして初めて気づく "こいつは本物だ"と と初めて会ったのは俺が非番の日だった 目指す相手に少しでも近づきたくて、俺はその日も練習にでかけた 誰にも迷惑の掛からねぇ、森の中 いつもは誰も居ないはずなのに、今日はどうやら先客がいた 後姿しか確認出来ないが、どう見ても女 木漏れ日が髪に反射し、白に近い銀髪がキラキラ光って見えた 「あんなやついたか?」 しばらくそいつの動きを見ていたくなって、俺は気づかれないように霊圧を限りなく押さえ込んだ 「君臨者よ!血肉の仮面・万象・羽ばたき・ヒトの名を冠す者よ!」 どうやら鬼道の練習をしているようだ 「赤火砲、ね」 そういや、統学院に居たとき思いっきりドジったことあったな…… 「焦熱と争乱、海隔て逆巻き南へと歩を進めよ! ドーーーン 目を疑った まさか自分と同じ失敗とするやつが死神になっても居るとは… しかも目の前でそれをやっちまうやつがいるなんて モクモクとあがる煙のなかから「ケホケホ」と咳をする声が聞こえる 「ぉ、おいっ、大丈夫か!?」 同じ失敗でも、俺のときはまだ統学院時代の頃の霊圧だったからかそんなに酷い怪我はしなかったが、こいつのはどう見てもかなりの威力があった 流石に心配になって近寄ると、そいつは咳き込みながらも煙から出てきた 「ケホケホッ…。く、苦しかったぁ〜」 どうやら怪我はないようだ 「お前そんなんでよく死神やってるよな」 呆れながらそいつに声をかけると、今気づいたのかビクッと俺に振り返った 白に近い薄い銀髪(先端がやや焦げ気味) 白い肌(頬にすす付) 大きく見開かれた目 「プッ…あははははははは!!!」 急に笑い出した俺を驚いた表情で見てくる 「ぇっとぉ〜……」 「わ、わりぃ、っ」 笑いを必死に抑える 「俺は」 「十一番隊第六席・阿散井恋次さん、ですよね」 自己紹介しようと思ったが、先に言われちまった 「あ、あぁ。で?お前は?」 「私、 と言います。一応一番隊で見習いみたいなコトさせてもらってるんです」 「お前があの!?」 正直驚いた 天才、ってんだがらもっと堅っ苦しいやつかと思えばこんな間抜けが!? 「お前があの統学院を超飛び級した !!?嘘だろおい…」 「ムッ…嘘なんかついてないですよ」 「でもお前、今爆発したろ!?あんな初歩の鬼道も使えないくせに」 「使えますっ///ちょとコントロールが苦手なだけで…」 「じゃぁ聞くが、回りの黒焦げてる木々や草は何だ?そして的であるまん前の円が汚れもしてないのはどうしてだ?」 意地悪く俺は自称 を見た 「ぅっ……そ、それは……」 「それはぁ?」 俺から目を反らせようと必死に言い訳を考えてるこいつが妙に面白くて、つい苛めたくなる 「だからコントロールが……」 「10発中何発だ?」 ま、せいぜいでも1・2発だろ それでも死神としてどうかと俺は思うぜ? そいつは指を一本恐る恐るだしてきた 「10発中1発は外すのか」 が、そいつは首を横にふった 「あ゛?」 「1発当たるかどうか……です」 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 「はぁぁぁ!!!!!?」 「ごめんなさいっ!!」 頭を下げるそいつに俺のほうは頭を抱える 仮にも自称 が、鬼道の初歩の赤火砲を的に当てられないなんて 「仕方ねぇ。俺が手本を見せてやる」 「え?」 俺は的に向けて手をかざし詠唱する 「君臨者よ!血肉の仮面・万象・羽ばたき・ヒトの名を冠す者よ!」 チラリとそいつを見ると、嬉しそうに俺を見てやがる 「焦熱と争乱、海隔て逆巻き南へと歩を進めよ!」 (何だよこの感じ///) 「破道の三十一・赤火砲!!」 ドーーーン 「なっ!!!?」 ま……まさか……… この俺が統学院時代と同じ過ちをするなんてっ!! 「だっ、大丈夫ですか阿散井さん!!?」 しかも心配されてしまっている…… 「クッ…あははははは」 「なっ何笑ってやがんだテメェ!」 「だっだって、顔中真っ黒 人事だと思って腹抱えて笑いやがって! ……けど、何だ? こいつの笑った顔見てるとすげぇあったかくなる…… 「テメェの顔も似たようなもんだぜ」 つられて俺まで笑顔になっちまう 「お前変わってんな」 「六席の地位であんなの(爆発)見せてくれる阿散井さんのほうがよっぽど変わって見えますけど?」 「テメェ言うじゃねぇか」 「でも阿散井さんて」 「恋次だ」 「………は?」 「恋次でいいっつってんだよ」 「ぇ、で、でも」 「でももクソもねぇ。俺がいいって言ってんだ。それとその堅っ苦しい話し方もなしな」 「じゃぁ……れんじ……?」 「っ///」 恐る恐る俺の名を呼ぶそいつの顔がやけに俺の鼓動を早める (駄目だ…。こいつマジで 「あのぉ……」 「っ!?お、おぅ!お前明日もここに来るか!?」 「はい、多分夕方頃には……どうかしたんですか?」 「いや、明日からお前に鬼道を教えてやろうかと思ってな」 「阿散井さんが、ですか?」 「呼び方」 「ぁ……恋次が?」 「何だその不安そうな顔は。 「っホントですか!!?うわぁ、すっごく楽しみです!!」 「お、おぅ///」 それが俺がこいつ・に始めてあった日 俺がに惚れた日だった その次の日から俺と、そして鬼道を教えてくれるよう頼んで来てもらった雛森との練習が始まった 雛森曰く 「ちゃんはコントロールがうまくいかないだけで威力やセンスは私より断然上だよ」 問題はコントロール 雛森が留守の日は、変わってルキアに頼んだ は誰とでもすぐに打ち解けられ、性格からか、誰からも好かれてた (俺としてはヤローにだけは好かれちゃ困るんだがな) は凄いスピードでコントロールを習得し始めた (こいつが天才と呼ばれるわけがわかったぜ…) 的に届くどころか、打てば100%明後日の方向に飛んでた赤火砲も、今では確実に当てられるようになった ただし…… 「バカもの!!気を抜くな!」 「ぇ?」 ドーーーン 「アホだな」 気を抜くとすぐに自爆する癖は残った…… それから数ヵ月後、は一番隊から五番隊へ移動となり、すぐに第三席の座についた 前項 / 次項 |